データで見る日本とASEANの今
日本とASEAN諸国は、様々な分野におけるパートナーとして、なくてはならない存在です。
ここでは、【貿易】【投資】【観光・人的交流】の面から、その関係性をみていきましょう。
貿易
貿易構造の変化により深まる
相互依存関係
日本とASEAN諸国は重要なビジネス・パートナーです。日本のASEAN諸国との貿易額(モノの輸出+輸入)は、31兆円以上(2023年)にものぼり、貿易総額の約15%を占めています。一方、ASEAN諸国にとっても日本は中国、米国、EUに次ぐ貿易相手国で、貿易総額の約7%(2022年)を占めています。
かつては日本がASEAN諸国から原材料や農水産品を輸入し、製品をASEAN諸国へ輸出するという構造でしたが、その傾向は変わってきました。1980年に輸入額の10%にも満たなかった日本のASEAN諸国からの製品輸入比率は、2021年には電気機器、木製品、衣類、服飾品などを中心に、約66%を占めるまでになっており、貿易構造が高度化しています。
また、輸出・輸入双方において、モノの貿易だけでなく、サービス貿易も年々増加しています。
全輸入額を100%とした時の
ASEAN諸国が占める割合(2023年)
私たちの生活に欠かせないものが、
ASEAN諸国から多く輸入されています
食料・調味料
- バナナ
- 82.1%
- エビ
- 44.2%
- インスタント
コーヒー - 86.7%
- コーヒー豆
- 22.1%
- イカ
- 20.1%
- 鶏肉
- 33%
エネルギー・資源
- パーム油
- 99.9%
- 天然ゴム
- 99.8%
- 合板
- 75.1%
- 液化天然ガス
- 23.4%
家電製品
- 電子レンジ
- 32.9%
- 冷蔵庫
- 32.1%
- ヘアドライヤー
- 37%
生活品
- 靴
- 41.3%
- 衣類
- 36.5%
- 家具
- 22%
投資
優れた製造拠点として、
巨大な消費市場として
多くの日本企業にとって、ASEAN諸国はアメリカや中国と並ぶ主要な投資先です。
日本とASEAN諸国は、二国間の経済連携協定(EPA)や投資協定を締結するとともに、2008年には日本とASEAN全体との間で締結した日本ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定も発効し、貿易・投資の更なる活性化に向けた制度上の整備が進められてきました。2022年には、15,500社以上の日本企業がASEAN諸国に事業を展開し、ASEAN諸国に暮らす日本人は19万人を超えています。
また、2015年末には、ASEAN経済共同体(AEC)が発足し、ASEAN域内における「ヒト・モノ・カネ」の行き来が自由になることにより、さらなる経済の活性化が予測されています。ASEAN諸国は従来の製造拠点としてだけではなく、6億7千万人以上の人口を擁する巨大な消費市場としても、日本企業から注目を集めています。
日本からASEANと中国への
対外直接投資の推移
日本からASEAN諸国への直接投資は、
近年加速しています
年 | ASEAN | 中国 |
---|---|---|
1995年 | 3,987 | 3,183 |
2000年 | 207 | 934 |
2005年 | 5,002 | 6,575 |
2010年 | 8,930 | 7,252 |
2015年 | 20,920 | 10,011 |
2020年 | 18,118 | 11,074 |
2022年 | 22,568 | 5,611 |
注:国際収⽀ベース 中国統計は⾹港を除く統計
出典:財務省、⽇本銀⾏、⽇本貿易振興機構
ASEAN諸国の対内直接投資
国・地域 | 直接投資割合 |
---|---|
ASEAN | 14% |
日本 | 11% |
アメリカ | 17% |
EU(英除く) | 11% |
中国 | 7% |
香港 | 5% |
韓国 | 5% |
オランダ | 3% |
その他 | 22% |
⽇本のODAがASEAN諸国の
経済発展・産業の⾼度化に貢献
日本はASEAN諸国の国づくりに、政府開発援助(ODA)等を通じて協力を行ってきました。
また、日本は経済成長を通じた貧困削減を重視し、教育や保健医療といった基礎生活分野のほかに、経済インフラ整備、法制度整備をはじめとした投資環境整備、人材・民間セクターの育成、技術移転の促進といった分野でも、ASEAN諸国に対して支援を行ってきました。
日本のODAは、ASEAN諸国のビジネス環境の整備に寄与し、日本をはじめとした海外からASEAN諸国への企業進出を後押ししています。
観光・人的交流
増加する日本と
ASEAN諸国間における人の往来
ASEAN諸国にとって、観光は各国経済において鍵となる産業分野です。豊富な観光資源の存在、そして時差が短いこともあり、コロナ前の2019年には年間550万人以上の日本人が、ASEAN諸国を訪れました。
一方、ASEAN諸国では、急速な経済成長と中間層の増加、LCC(格安航空会社)の市場参入やライフスタイルの変化等による日本観光への人気の高まりを背景に、日本への訪問者は急増し、2019年には10年前の約6.6倍の約390万人に上っています。日本とASEAN諸国間における人の往来は年々活発化しています。
また、日本におけるASEAN諸国からの留学生も増加傾向にあります。ASEAN諸国では、日本のアニメやJ-POPに代表されるポップカルチャーの人気が高く、それをきっかけに日本に関心を持ち、日本語を勉強したり日本へ留学したりする若者が増えています。
日本からASEANへの渡航者の推移
年 | 日本からASEAN への渡航者 |
---|---|
2012年 | 4,308,119人 |
2014年 | 4,593,184人 |
2016年 | 4,772,271人 |
2018年 | 5,228,544人 |
2019年 | 5,655,375人 |
2020年 | 1,030,408人 |
2022年 | 851,345人 |
2019年・日本人渡航者数内訳
日本人渡航者数(2022年)の
31%がASEAN諸国への渡航者です
日本からASEAN各国への渡航者の内訳 (ASEAN全体を100とした場合) | |
---|---|
ブルネイ | 0.1% |
ラオス | 0.8% |
ミャンマー | 0.8% |
カンボジア | 3.5% |
インドネシア | 8.6% |
マレーシア | 9.8% |
フィリピン | 11.7% |
ベトナム | 15.1% |
シンガポール | 15.5% |
タイ | 34.1% |
ASEAN10ヵ国から
日本への渡航者の推移
年 | ASEANから日本 への渡航者 |
---|---|
2010年 | 722,112人 |
2012年 | 789,380人 |
2014年 | 1,629,222人 |
2016年 | 2,549,515人 |
2018年 | 3,383,427人 |
2019年 | 3,904,254人 |
2020年 | 711,284人 |
2022年 | 974,123人 |
⽇本への渡航者数内訳
訪⽇外客数(2022年)の
25%がASEAN諸国からの渡航者です
ASEANから日本への渡航者の内訳 (ASEANから日本への渡航者全体を100とした場合) | |
---|---|
ブルネイ | 0.1% |
ラオス | 0.2% |
カンボジア | 1.4% |
ミャンマー | 2.3% |
マレーシア | 7.6% |
インドネシア | 12.3% |
フィリピン | 13% |
シンガポール | 13.6% |
タイ | 20.3% |
ベトナム | 29.2% |
ASEANから日本への留学者数の推移
年 | 高等教育機関在籍者数 |
---|---|
1980年 | 828人 |
1990年 | 4,094 |
2000年 | 6,422人 |
2010年 | 13,119人 |
2015年 | 31,739人 |
2020年 | 60,203人 |
2022年 | 43,588人 |
⽇本への留学者数の内訳
外国⼈留学⽣(2022年)の
24.3%がASEAN諸国出⾝者です
ASEANから日本への留学者の内訳 (ASEANから日本への留学者全体を100とした場合) | ||
---|---|---|
国 | 2022年 留学者数 | 割合 |
ブルネイ | 18人 | 0.1% |
ラオス | 258人 | 0.5% |
シンガポール | 316人 | 0.7% |
カンボジア | 882人 | 1.9% |
フィリピン | 1745人 | 2.8% |
マレーシア | 2423人 | 5.2% |
タイ | 2959人 | 5.7% |
ミャンマー | 3813人 | 6.1% |
インドネシア | 5763人 | 10.8% |
ベトナム | 37405人 | 66.2% |
出典:⽇本学⽣⽀援機構