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たべもの

ASEAN諸国で愛されている、個性豊かでおいしいフードやドリンク。そこには、それぞれの国が育んできた多種多様な文化をかいま見ることができます。

brunei

アンブヤ

サゴヤシの澱粉で作る
ボルネオ島の伝統食

ボルネオ島北部で食されてきた、ブルネイの伝統料理が『アンブヤ』です。

椰子の一種であるサゴヤシの樹液からサゴ粉を作り、熱湯を注いで混ぜると水アメのような状態になります。それを特製のお箸で巻き取り、魚や野菜のおかず、エビのペーストやドリアンソースなどと一緒に食べるのが一般的です。

cambodia

アモックとプラホック

さかんな漁業を背景に
愛されている魚料理

メコン川やトンレサップ湖での漁業がさかんなことから、カンボジアでは魚料理がよく食べられます。

『アモック』はカレーで風味をつけたココナツミルクで白身魚を蒸した料理。主食であるお米と一緒にいただきます。

また、塩漬けの小魚を発酵させた『プラホック』は、日本における醤油と同様、カンボジアの食に欠かせない調味料です。

indonesia

パダン料理

ずらり並んだ小皿を選ぶ
自由な食べ方が特徴

西スマトラ州の『パダン料理』は、インドネシア国内のあちこちにレストランがある人気の料理です。席に着くと、小皿に盛った料理がずらりと並べられ、食べた分だけ料金を支払います。

素材は魚・エビ・ヤギ肉・チキンなどさまざまで、ココナツや唐辛子、スパイスと一緒に煮込みます。白米と一緒に食べるのが主流です。

lao pdr

ラープ

海のない国ならではの
ハーブを利かせたお肉料理

海に面していないラオスでは、農作物と家畜の肉が食事の中心を担います。

『ラープ』は、細かく刻んだ鳥や豚、アヒルなどの肉を炒め、レモングラスやパクチーなどの香草や唐辛子と和える料理。ラオスの人々は蒸したもち米、カオニャオを指先で一口分に軽く丸め、ラープを添えて食べます。

malaysia

ナシゴレン、テ・タレ

マレー、中国、インドが融合した
独自の食文化

マレー風炒飯『ナシゴレン』と焼きそば『ミーゴレン』は、インドネシアやブルネイなどマレー文化圏で広く愛される料理。どちらもオイスターソースと唐辛子などの薬味で炒めたピリ辛味が特徴です。

またマレーシアをはじめシンガポールなど、インド系移民が多い地域で愛される紅茶が『テ・タレ』。コンデンスミルク入りの紅茶を2つのカップに何度も移し替え、高い位置から注いで泡立てる鮮やかなお茶の入れ方は、競技会も実施されるほど人気を集めています。

myanmar

モヒンガー

ミャンマーの国民食、
ナマズスープの汁麺

朝ごはんに麺類を食べる習慣があるミャンマーで、街中のいたるところで食べられるのが米麺『モヒンガー』。ナマズでだしをとったスープに米麺を入れ、豆やお米の粉、バナナの茎、ゆで卵、かき揚げなどをのせます。

日本の麺類のようにすすって食べるのではなく、レンゲで麺を切りながら短くして口に運ぶのがミャンマー式です。

philippines

ハロハロ

フルーツ王国フィリピンの
かき氷風デザート

温暖で雨が多いフィリピンはフルーツの栽培に適した土地。“混ぜこぜ”という意味をもつ『ハロハロ』は、ナタデココをのせたかき氷にシロップをかけ、さらにウベ(紫芋)のアイスクリームやフルーツをトッピングしたスイーツ。

その名の通り、かき混ぜながら食べ、最後にはジュースのように飲むこともできる、現地ではポピュラーなおやつです。

singapore

海南風チキンライス

華僑がもたらした、
東南アジアのローカルフード

中国語で“海南鶏飯”と記される『海南風チキンライス』。もともと中国の海南島出身の華僑が伝えたのがきっかけで、シンガポールをはじめ東南アジア各地に庶民の味として広がり、各国で独自の進化を遂げました。

鶏肉のゆで汁で炊いたごはんの上に、ゆでたりローストした鶏肉をのせたシンプルな料理で、現地ではスープや野菜と一緒に食べられています。

thailand

トムヤムクン

エビの旨みがたっぷり、
酸っぱくて辛いスープ

世界三大スープのひとつとされる『トムヤムクン』は、タイ料理の中でも有名なメニュー。トム=煮る、ヤム=和える、クン=エビと、料理の工程と食材がそのまま名前の由来になっています。

レモングラスなどの香草、タマリンドや唐辛子などで味付けした独特の酸っぱくて辛い風味は、一度食べたら忘れられない個性的な味です。

viet nam

バインミー

街中で気軽に食べられる
ベトナム風サンドイッチ

フランス植民地時代の影響から、ベトナムではフランスパンが日常的に食べられています。『バインミー』はフランスパンにさまざまな具をはさんだベトナム風のサンドイッチ。

街にはバインミーの屋台がたくさんあり、目の前で焼いた目玉焼きやお肉をパンにはさみ、香草やシーズニングソースをかけて手渡してくれる、庶民の軽食として愛されています。

ASEAN諸国とスパイス、ハーブ

ASEAN諸国では、多くのスパイスやハーブが料理に使われているのに気がついたでしょうか?

その大きな理由が、東南アジア地域の厳しい暑さ。スパイスを利かせた料理には発汗作用があるため、汗が蒸発するときに体温を奪い、涼しくなるのです。またスパイスやハーブの独特の香りや辛みには食欲を高める効果もあるので、暑い気候でも食欲を落とさず、体力を消耗しない工夫であるとも言えます。

古くから医薬としても使われていたとおり、スパイスやハーブには食材の腐敗を防いだり、消化を助けたり、解毒作用があったりと、さまざまな効能があります。スパイスやハーブはASEAN諸国に住む人たちが健康に過ごすため、欠かすことのできない食のパートナーなのです。