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人々と民族衣装

ASEAN地域には6億5千万人以上の人々が暮らしています。多様な民族の人々が暮らしており、話されている言語や信仰されている宗教も様々です。

ASEAN諸国にはそれぞれ伝統的かつ個性豊かな民族衣装があります。同じ国でも民族によって衣装は異なりますが、ここでは代表的なものを、ASEANに暮らす多様な人々とあわせてご紹介します。

ASEANの人々

ブルネイの
マレー系イスラム教徒の女性

ブルネイのマレー系イスラム教徒の女性のイラスト

ブルネイの人口の8割はマレー系のイスラム教徒です。女性は全身をすっぽり覆い隠すツーピース『バジュ・クロン』を着用し、『トゥドン』というスカーフで髪を隠しています。

ブルネイの
マレー系イスラム教徒の男性

ブルネイのマレー系イスラム教徒の男性のイラスト

金曜日にモスクに行く際や正装として着る『チェラ・メラユ』という丈の長い長そでシャツとズボンの上に、腰巻の『シンジャン』を身に付けています。ブルネイのシンジャンには、銀や金の糸が編み込まれているのが定番です。頭にのせているのは『ソンコ』という帽子です。

マレーシアの
マレー系イスラム教徒の女性

マレーシアのマレー系イスラム教徒の女性のイラスト

ブルネイのイスラム教徒女性と同じように『バジュ・クロン』を着て、『トゥドン』で髪を隠しています。トゥドンの巻き方や、バジュ・クロンのデザインは様々です。足元もハイヒール、スニーカー、フラットシューズなど合わせるものは自由です。

マレーシアの
マレー系イスラム教徒の男性

マレーシアのマレー系イスラム教徒の男性のイラスト

マレーシアの人口の6割はイスラム教徒です。ズボンの上に伝統的な襟なしの長そでシャツ『バジュ・メラユ』を着ています。シャツの下には腰巻の『サンピン』を身に着けています。頭にのせているのは『コピア』という帽子です。

ベトナムの女子高生

ベトナムの女子高生のイラスト

ベトナムの民族衣装で「長い着物」という意味をもつ『アオザイ』は、18世紀に伝えられた中国服が起源です。男女用とも両脇に入ったスリットが特徴で、『クワン』というゆったりしたズボンと合わせて着るのが一般的です。白いアオザイは学生の制服として着られています。

ベトナムの男性

ベトナムの男性のイラスト

ベトナムの民族衣装である『アオザイ』をデニムと合わせて着ています。女性は普段着としてもアオザイを身につけますが、男性は結婚式など式典の時にだけ着る人がほとんどです。伝統的なアオザイの着こなしをするときは、それ用の帽子もかぶります。

カンボジアの
仏教徒の年配女性

カンボジアの仏教徒の年配女性のイラスト

敬虔な信者なので頭を丸めています。下半身には長方形の絣(かすり)『サンポット』を巻いています。伝統的なサンポットは絹の絣でできたものですが、普段使いの素材のものも売られています。

カンボジアの
若い男性

カンボジアの若い男性のイラスト

アンコール王朝を築いたクメール人の民族衣装が絹の絣でできた『サンポット』です。男性はズボンのような装いで着用するのが伝統のスタイルです。

ラオスの若い花婿

ラオスの若い花婿のイラスト

正装である筒状の布でできた絹の『サロン』と絹のブラウスを着ています。普段着としてのサロンは木綿素材が好まれていますが、結婚式など儀礼の時は絹を選ぶのが正式です。腕にはたくさん白い木綿の紐が結ばれています。これは『バシ』という儀式で家族や友人が彼の幸せな結婚を願って祈って結んだものです。

ラオスの女子高校生

ラオスの女子高校生のイラスト

筒状の布でできた『シン』の制服を着ています。制服のシンに合わせる靴はサンダルやスニーカーや革靴など、人それぞれ。

タイの男性

タイの男性のイラスト

男性の正装である『スア・プララーチャターン』という立襟のジャケットを着ています。1977年にプミポン国王(当時)がデザインを決めて着用を推奨し、一般に広まりました。

タイの花嫁

タイの花嫁のイラスト

タイ女性の正装である『シワーライ』を着ています。シワーライは、長方形の布を胸に巻いて着るトップス『サバイ』と『パ・ヌン』と呼ばれる筒状のスカートで構成されます。

ミャンマーの
花婿

ミャンマーの花婿のイラスト

男女共通の民族衣装である筒状布のスカート『ロンジー』の男性用『パソー』を巻き、『ガウンバウン』という帽子をかぶっています。パソーは普段から着られていますが、この男性は結婚式向けの絹のパソーを巻いています。足元はフェルト素材のサンダルを合わせています。

ミャンマーの
ティーンエイジャー

ミャンマーのティーンエイジャーのイラスト

日常的に着られている伝統的な筒状布のスカート『ロンジー』の女性用『タメイン』の上に『エンジー』と呼ばれる上着を着ています。頬につけているのは天然の化粧品『タナカ』です。ロンジーの結び方は男女で異なり、男性は体の正面で、女性は左右にずらして結ぶのが特徴です。

フィリピンの男性

フィリピンの男性のイラスト

男性の正装『バロン・タガログ』を着ています。バロン・タガログはパイナップルなどの繊維で作った薄手の生地で作られており、前面に刺繍が施されています。

フィリピンの女性

フィリピンの女性のイラスト

女性の正装『テルノ』を着ています。張り出したバタフライ・スリーブが特徴的で、約400年間、スペインの植民地であった影響が表れています。

インドネシアの
ジャワの男性

インドネシアのジャワの男性のイラスト

『ブスカップ』と呼ばれるジャケットを身につけ、バティックの筒状布『サロン』を合わせています。

インドネシアの
西ジャワの女性

インドネシアの西ジャワの女性のイラスト

ジャワ人、スンダ族やバリ人女性の正装『クバヤ』は、レースやオーガンジー等を用いた丈の長いブラウスの一種。ボトムはバティックの筒状布『サロン』を合わせています。

シンガポールの
中華系の男性

シンガポールの中華系の男性のイラスト

国民の7割以上を占める中華系シンガポール人の伝統衣装である、『チョンサム』を着ています。満州人の民族衣装が原型とされています。

シンガポールの
中華系の女性

シンガポールの中華系の女性のイラスト

中華系シンガポール人の伝統衣装である、『チョンサム』を着ています。柄は中国、マレー、そしてヨーロッパの文化が融合した『プラナカン』のバティックです。チョンサムには光沢のある絹や刺繍入りのサテンなど、繊細で華やかな生地がよく用いられます。

ASEANの国々で
見かけられる
普段の服装の例

ASEANの国々で見かけられる普段の服装の例
左:マレーシアのインド系男性
右:ブルネイのマレー系イスラム教徒女性

マレーシアやブルネイの『バジュ・クロン』やミャンマーの『ロンジー』など、日常的に着られている伝統的な服がある一方で、ASEANの国の多くでは、民族衣装は結婚式などのフォーマルな場面でのみ着るものとなってきています。