トラディショナルスタイル

ASEAN諸国にはそれぞれ伝統的かつ個性豊かな民族衣装があります。
同じ国でも民族によって衣装は異なりますが、ここでは代表的なものを紹介します。

マップ

①ブルネイ
②カンボジア
③インドネシア
④ラオス
⑤マレーシア
⑥ミャンマー
⑦フィリピン
⑧シンガポール
⑨タイ
⑩ベトナム

※図中の番号を押すと説明箇所に移動します。

①ブルネイ


敬虔なイスラム教徒ならではのマレー系ブルネイ人の伝統衣装

【女性】バジュ・クロン 【男性】チャラ・メラユ

マレー系ブルネイ人にはイスラム教徒が多いため、女性は全身をすっぽり覆い隠すツーピース『バジュ・クロン』を着用し、『トゥドン』というスカーフで髪を隠します。男性は『チャラ・メラユ』という丈の長い長袖シャツとズボンの上に、腰巻『シンジャン』を身につけます。男女とも、隣国マレーシアのマレー系国民の民族衣装に類似しています。

②カンボジア


パンツ兼スカートでもあるクメール人の民族衣装

【女性・男性】サンポット

アンコール王朝を築いたクメール人の民族衣装が、絹の絣でできた『サンポット』です。女性は主に巻きスカートとして身につけますが、男性は銀の飾りで布を留め、ズボンのような装いで着用するのが伝統のスタイルです。トップスにはブラウスやシャツを合わせます。

③インドネシア


礼拝や公の場で着る伝統衣装

【女性】クバヤ 【男性】ブスカップ

ジャワ人、スンダ族やバリ人女性の正装『クバヤ』は、レースやオーガンジー等を用いた丈の長いブラウスの一種。ジャワ人男性は『ブスカップ』と呼ばれるジャケットを身につけます。男女ともボトムにはバティックの筒状布『サロン』を合わせます。男性はバティックシャツにズボンというスタイルも一般的です。

④ラオス


普段着にも正装にも使われる民族衣装

【女性】シン 【男性】サロン

『シン』と『サロン』は、どちらも筒状の布でできています。普段着としては木綿が好まれていますが、結婚式など儀礼のときは絹を選ぶのが正式です。女性は『シン』にブラウス、男性は『サロン』にジャケット、さらに『パービアン』という斜めがけショールを合わせるのが基本の組み合わせです。

⑤マレーシア


マレー系イスラム教徒の国民の正装

【女性】バジュ・クロン 【男性】バジュ・メラユ

マレーシアのイスラム教徒の衣装は、男女ともブルネイのマレー系国民とほとんど変わりません。男性のバジュ・メラユに巻きつける丈の短い腰巻きは『サンピン』といいます。また、男性がかぶる帽子『ソンコ』には黒と白があり、聖地メッカの巡礼を済ませたイスラム教徒だけが白いソンコを身につけることができます。

⑥ミャンマー


筒状の巻き布を使ったミャンマー人の国民的衣装

【女性・男性】ロンジー

男女共通の衣装が筒状布のスカート『ロンジー』。男性は体の正面で、女性は左右にずらして結ぶのが特徴です。正装のときは絹の『ロンジー』に伝統的な上着である『エンジー』を合わせ、女性はその上からレースのヴェールを羽織り、男性は『ガウンバウン』という帽子をかぶります。

⑦フィリピン


スペイン統治の影響を受けたフィリピン人の正装

【女性】テルノ 【男性】バロン・タガログ

約400年間、スペインの植民地だったことから衣装にもその影響が表れています。女性の正装『テルノ』は、張り出したバタフライ・スリーブが特徴的。男性の正装『バロン・タガログ』はパイナップルなどの繊維で作った薄手の生地を使用し、前面に刺繍が施されています。

⑧シンガポール


満州人の民族衣装が基となる中華系シンガポール人の伝統衣装

【女性・男性】チョンサム

満州人の民族衣装が原型とされる『チョンサム』は、高い襟とサイドスリットが特徴です。光沢のある絹や刺繍入りのサテンなど、繊細で華やかな生地がよく用いられます。男性は主に儀礼の時だけ身につけますが、女性はドレスの一種としてパーティなど幅広い場面で着用しています。

⑨タイ


晴れの舞台で着用するタイのナショナル・コスチューム

【女性】シワーライ 【男性】スア・プララーチャターン

タイ女性の正装である『シワーライ』は、長方形の布を胸に巻いて着るトップス『サバイ』と『パ・ヌン』と呼ばれる筒状のスカートで構成されます。男性の正装は『スア・プララーチャターン』というジャケットで、1977年にプミポン国王がデザインを決めて着用を推奨し、一般に広まりました。

⑩ベトナム


中国から伝わったベトナム人の正装

【女性・男性】アオザイ

「長い着物」という意味を持つ『アオザイ』は、18世紀に伝えられた中国服が起源です。男女用とも両脇に入ったスリットが特徴で、『クワン』というゆったりしたズボンと合わせて着るのが一般的です。女性は普段着としてもアオザイを身につけますが、男性は結婚式など式典の時に着ます。

巻きスカートがASEAN諸国で愛される理由

巻きスカートがASEAN諸国で愛される理由

ASEAN地域では、男女を問わず巻きスカートが愛用されている国がたくさんあります。長方形の布を巻きつけて着たり、あらかじめ筒状に縫った布を帯などで留めたりと、国により着方やスタイルは多少異なりますが、“一枚布の衣服”であるという点は共通しています。というのも、一年を通じて気温と湿度が高い熱帯地方では、日本のように衣類を重ね着する必要がありません。また、一日に何度も水浴びをする習慣もあるため、脱ぎ着が簡単で、洗濯しやすくすぐ乾き、さらに作るのも簡単である実用性と相まって、巻きスカート文化につながっていったのです。